理念と基本政策 錦織の政策と小泉内閣の構造改革の違い 錦織あつし7つの重点政策
 
 

理 念 と 基 本 政 策

2003年7月23日(水)
 
1. 時代認識
 
10年前の政界入りの際表明した「文明の転換期」との時代認識は、今も変わらない。むしろ一層確信を深めている。生産力至上主義・万能主義の限界が露になり、従来の手法があらゆる分野で行きづまり、矛盾が表面化する。私は、それを「世界観喪失の時代」における「人類3つの危機(核兵器・環境・南北問題)」と表現した。
この数年のアフガニスタン問題とイラク問題並びにその共通の背景として存在する中東問題は、その危機の具体的表現である。が、依然として解決への見通しは全くといってよいほどたっていない。また、北朝鮮の核開発にみられる核拡散に対し世界が毅然とした態度をとってこなかったことは、危機意識そのものが依然として不十分であることを示している。 いかに「世界観喪失」に伴う混迷の時代とはいえ、人類が危機の本質への認識を正しく共有しておれば、歴史に禍根を残すブッシュ大統領の“決断の過ち”が国際社会でいささかでも許容されることはありえなかったし、ホッブス流の国際秩序論なるものに世界が振り回されることもなかったであろう。
 
2. 日本の政治・行政の欠陥と弱点
 
1)行政権(官僚)優位の構造とその弊害
以上の時代認識とは別に、我が国政治・行政に特有の構造上の問題があることを指摘しておかなければならない。行政権が余りに強大で、立法・司法という他の2権の力が余りにかぼそいということである。また、これに伴い地方分権も遅々として進まない。
この構造は、行政の過ちを立法・司法が是正出来ないという一般的な問題に加えて、私が“省庁連邦国家日本”と名づけた縦割り行政の弊害とあいまって、時代の転換期に必要とされる強いリーダーシップの欠如という致命的欠陥をもたらすことになった。首相官邸における政治機能の強化が叫ばれたのは、必然のなりゆきである。 このような仕組みのもとでマンネリ化し、或いは硬直化した行政の施策は、時代の変化に対応出来なくなった。そして、さまざまな弊害をもたらした。
たとえば、今や百害あって一利あるかないかの無駄な公共事業であることが誰の目にも明らかであっても、“改革政権”のもとでもなお堂々とまかり通っているのが現状である。ましてや、新しい国土と産業インフラを整備するための公共投資は、その萌芽すら見出すことが出来ない。
また、天下りや利権の巣と化した無数の特殊法人や公益法人の肥大化は、弊害というより腐敗というべきものである。 公益目的で始まったはずの行政による過度の規制は、たんに民業の圧迫などという次元にとどまらず、今や我が国の国民や社会が持っている活力とエネルギーを封じ込めてしまうという反動的な役割りを果たしている。 政・官・業の癒着は、政策決定と執行の過程における構造的腐敗を生み出し、利権政治・金権政治の墜落をもたらした。また、この“鉄のトライアングル”は、地方分権の弱さとあいまち、全国津々浦々に至るまで、草の根レベルで浸透している。
かくして、我が国のあらゆる分野で、国民の英知とエネルギーは閉じこめられ、自由闊達な発展が阻害されている。

2)政治不信・政党不信の本質
官僚優位の構造のもとで、政治の機能は、官と業の間に立って“富の分配”を仲介することに矮小化された。私は、これを「ブローカー政治」と呼んできた。
しかし、このようないびつな政治を続けることが出来たのは、高度経済成長のもと、国民の不断の努力によってあり余る富がもたらされたからである。
我が国経済にかげりが生じ、大きな転機が訪れた今、このような政治は許容されえない。どのような富を、どのような仕組みで生み出していくか、その根本的課題を解決することが政治に求められている。 今日の政治不信・政党不信は、政治家と政党がこの課題にこたえきれないことによって生じている。かつての政治不信は、金権腐敗政治への批判であったり、或いは政治への無関心という形で表現されたりした。しかし、今や次元が全く異なるものへと一変した。政治家や政党が本来期待されているはずの役割を果たしえないのではないかという疑問と不信である。問題解決のための「統治能力」の欠如という、根源的不信がつきつけられている。 この不信の眼は、長びく不況のもとで、迷走する金融・財政政策をはじめ経済政策全般に対し、最も厳しく向けられている。
そして、今後は、国民の不信の眼は、「日本国政府は国民の安全を保障出来るか」という形で、外交・安全保障や軍事の面にも向けられていくことになろう。イラク問題における対米追随という“思考の停止”がそのことを予感させる。

 
3.基本政策(「3つの危機」への対処)
 
1)産業政策
  • 産業の環境化
    産業のあらゆる分野で循環型への転換を図り、これを支援する施策を展開する。産業活動に伴って生じる環境破壊や汚染への対策にとどまらず、あらゆる産業分野のあらゆる製品(のパーツ)が、製造の段階から回収・リサイクルを前提としたものにつくりかえられていく。
  • 環境の産業化
    さまざまな環境産業の展開を支援する。特にITとの結合を図り、この分野でも世界の最高水準を目指す。
  • 第一次産業の復権
    農林水産業を再建する。自然や環境との調和を図り、保全する。また、この分野でもITの活用を行う。

2)国土政策

  • 破壊された自然の再生
    従来型の公共事業その他によって都市から地方に至るまであらゆる地域で破壊された自然を再生する。
  • 自然の摂理に着目した資源の循環
    特に、「水の循環」に着目した施策を展開する。地方のみならず、都市を含む「流域一貫」の原則にのっとり、生活・工業・農業用の取水・排水の全ての過程を組みかえる。

3)弱者・少数者の権利の普遍化を通じた人間性復権のための諸施策

  • 福祉と地域社会との共生
    高齢化・介護福祉や保育を地域のコミュニティと結びつける。隔離型ではなく、少数・多様な施設を展開する。
  • 障害を持つ人々に開かれた社会と街づくり
  • 心と創造性を重視する教育への転換
  • 男女共同参画社会の確立

4)国際社会における新たな日本のリーダーシップの確立

  • 二国間安全保障から多国間安全保障への転換
  • アジア諸国に対する新たな道義外交の展開
  • 朝鮮半島の非核化を含む北東アジア安全保障体制の構築
  • 核拡散防止から核の究極的廃絶へ
  • パレスチナ問題への能動的関与
  • 国連の改革
  • 定住外国人参政権の実現と共生社会の構築

5)政策決定システムの全面的な改編

  • 官邸機能の強化並びに官邸と各省庁における政治機能の強化
  • 政策形成過程において国民の英知を結集できる新たなシステムの確立と情報の共有化
  • 既得権益打破のための規制緩和、法人制度改革
  • 地方分権の促進により中央政府の機能を国策の基本機能に集約
  • 「司法の優位」実現のための司法改革、特に司法の行政へのチェック機能の拡大
 
4.「失なわれた10年」からの脱却のための当面の施策
 
1)不良債権処理政策の抜本的転換
銀行の再生から企業(特に中小企業)の再生と庶民の生活再生

2)中小企業のための新たな金融システムの確立